この地はもう、お前を愛してなどいない。
それでも私はこの地に残る。
Bleibe(ブライベ)
ol.ne.jp/hiyon" target="_top">せらひかり Hikari Sera. All rights reserved.



   Bleibe(ブライベ)   

12『掲示板(会話文)』
   *
掲示板が出ました。一宇君は張り紙を剥がして大佐にお届けです。

地点A
一宇「大佐ー。あそこに書いてあること、ほんとーですか?」
浮田「……どこだって?」
一宇「……知らないんだ」
浮田「何なんだその哀れむような笑い方は」
九条「まー、覚悟なさいまし」
浮田「なぜ俺の肩を叩いてにやつく」
佐倉「……いい天気ですね」
浮田「なぜ空を仰ぐ」

地点B
アルフォンス「やっほー! たっだいまー」
塩野「出た……」
「でやがった、」「見るな、みちゃいかん」「あんの外道め、まだ生きてやがったか」(群衆)
アルフォンス「あっれ? みんな、どうかしたの?」
塩野「左遷隊長が帰還するからみんなの志気が下がってるんです」

地点A
佐倉「アルフォンス・ネオ大佐が帰ってるんです」
浮田「…………あいつ、まだ生きていたのか?」
九条「あの人がいる場所はことごとく壊滅する……おっそろしージンクスですねぇ」
一宇「えっ、そうなんですか!? うわっ……」
佐倉「一宇? どうしたんだ? ……その、後ろにもってる紙は何だ」
一宇「えっ? べ、べっつに」
九条「見せてみろよー」
一宇「だっ、ダメです!」
浮田「……怪しい」
佐倉「妙ですね」
九条「おい、一宇、お前さ、アルフォンス大佐帰還のことで態度がおかしかった訳じゃないんじゃねぇの? だってお前大佐のジンクス知らないんだろ」
浮田「九条、お前ちょっとみない内に賢くなったなぁ」
九条「(このおっさん……毎日顔突き合わせてんじゃねぇかよ!)頭撫でないでください大佐」
一宇「うわ!」
浮田「スキあり。すき焼き食いたいなぁ、もうすぐ新年だなぁ、できたら年明けは基地内とか密林で野郎とデートだけは避けたいなぁ……あれ?」
九条「何の話だよ」
浮田「……」
佐倉「大佐、どうしました?」
浮田「……どうしよう」

アルフォンス「うん!」
塩野「(いやそんな満面の笑みでこっちみなくても、ってかこの人二十五……もうすぐ二十六だってのにまぁそんななんでまたお子さまランチなんかくってんだろうなぁ、のまえになんで食堂のメニューにあるんだ)……大佐、そんなまた、ご冗談を」
アルフォンス「冗談? フ、まさか。あえて将軍職を蹴ってきたこの私にいう言葉かね?」
塩野「(お子さまランチ食う金髪碧眼のそこそこ顔は良いけどでもその悪運には誰もついてけねーからいっつも部下がいない(壊滅)そんなバカなというような大佐に、大総統とか取られた日には国が滅びます(泣))」
アルフォンス「どしたー、しおの。泣いてるのか? ははっ、安心しろよ、別に私はどこへもいきやしないから」
塩野「どうも……(だからだよッ!! あんちきしょうめっ)」

地点A
浮田「……昇格してやがる」
一宇「給与が下がってるなぁとか、そこらへんで大変だなぁと思ったんですけど……ほんとだぁ、あがってる」
佐倉「(大佐の給料が下がってあんな笑いを……一宇、お前一体どういう子に育ってしまったんだ、俺のせいにされるのかなぁ……姉さんに示しがつかないよ……)」
九条「なにが不満です? 准将でしょ、この基地じゃ部隊掛け持ちできるってことですよ、コマが増えるんですよ」
浮田「よーくみてみろ」
九条「……あれ? これって」
佐倉「……おととい殲滅された第十一部隊……すでになき五部隊」
浮田「どうりで給与が下がるわけだ」
一宇「建て直しからはじめろということですよね」
浮田「いちうー、おまえしってるか? 解体した部隊の再編成」
一宇「えーと、確か、足りない人員は自力で補え」

浮田「ふう……やりやがったな、アルフォンス」
佐倉「セーレムよりましでしょう、あの人、基地内で賭博してもめごとばっかり起こすから、……アルフォンス大佐が……」
浮田「あぁ……哀れだな、セーレム」
一宇(こっそり)「誰ですか」
九条「ん? ああ、セーレムってのは航空技術はものすごくてかっこよかったけどな、博打で身代つぶしかけて、見かねたアルフォンス大佐が北極にとばしたんだ」
一宇「……それで左遷隊長」
九条「その噂は聞いてたんだな」
一宇「ええ、まぁ。アルフォンス大佐ってどんな人なんでしょうか」
九条「……本人に聞けば?」

地点B
アルフォンス「あー! 浮田!!」
浮田「げっ」
アルフォンス「あっ、何で逃げるんだよう」
浮田「かわいぶるんじゃない! お前が大将つぶしたって聞いてるんだぞ、この、くず!」
アルフォンス「うわ、上等だね、私にそんな」
一宇「……このひと、泣いてるんですけど」
佐倉「……」
浮田「わーかった、めそめそするな」
アルフォンス「怒ってない?」
浮田「(怒ってるにきまってんだろこの野郎! ぶりぶりしながら影で何人片づけたんだ)……俺の昇格を取りやめてくれるならな」(スマイル0円、ただしやっている本人にとっての精神的ダメージは大きい)
アルフォンス「わかった」
一宇「はやッ」
佐倉「一宇、あのぐらいの階級になると、変わり身が早くないとやっていけないんだよ」
浮田「……で。前線基地の第十七部隊大佐アルフォンス・ネオ。兼任のおつとめご苦労様。前の部署でも冷や飯かい」
アルフォンス「あははっ、まっさかあ! そりゃあ、たまたま演習中に墜落したB-11VKにぶちあたって隣に立ってた中将は亡くなられたけど」
一宇「コワっ……」
アルフォンス「私は……私は、本部に戻りたいだけなんだ」
一宇「(今の文章、繋がってたのか!? だとしたら……いや、何も考えまい、うん、保身保身)」
浮田「本部の大将は、とったんだよな、確か」
アルフォンス「受勲式の最中に敵の突撃をくらったからね、途中でやっぱりおまえなんかここに置けないって言われて、位がこれでみっつめさ」
一宇「さん?」
九条「あのひとなー、ほんとはここの大佐なんだが、本部の大将をいっぺんやりかけてやっぱこええから、武器の生産してる街があったろ、あそこの監督官に左遷」

浮田「アーリー」
アルフォンス「なんだい?」
浮田「にこにこしながら振り返ったてめえの面にケチャップがついてようが気にはせんがな、うちの部下を殺すようなマネはやめい」
一宇「だいじょうぶですか?」
九条「そう見えるのか? 食堂通りかかっただけでナイフ投げられてもうイヤだ俺こんな生活」

前(Bleibe - )| MENU |
・著作権がありますので、このサイトにある全ての文章、画像などの無断転載・複製などご容赦下さい。詳細については本体サイトに準じます。Copyright(c)せらひかり Hikari Sera. All rights reserved.Never reproduce or republicate without written permission.